カストリ雑記

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歌舞伎町発、極楽行き花電車

友人からある日、衝撃の告白を受けた。


友人『たかだちゃんに相談なんだけど、私リッパーになりたいんだ。』

私『リッパー?(…うーん、被服で使う糸切る道具しか思い浮かばないや)…ごめん、何それ?』


友人『ストリッパー』


私『…あ、そう。頑張れ。友人ちゃんダンス出来るしいいんじゃん?まぁ、ポールダンスだとありきたりだし、思い切ってストリップって面白いと思うよ。』

友人『たかだちゃんならそう言ってくれると思った!デビューしたら見に来てね! !』

私『おーけー。』



たかだ、適当だな!



私より4つ年上だから、私より色々な景色見てきたでしょうし。
彼女は4か国語喋れるから日本で生き辛さを感じたら、日本から出てきゃいいんじゃないのー(冷たいようですが、彼女の経験や語学力を信頼しているからこその突き放しです。)。
それに、この期に及んで適当人間たかだを呼ぶってことは、意見云々ではなく確証バイアスを得たいんでしょ?と。
多分、私に打ち明けた時点で腹は決まってたよ。本当のところは知らんけど(適当)。


そんな告白から数ヶ月後…




友人、ついにデビュー。


行ったさ。
たかだ、ストリップ劇場行ったさ。

私(あれだ、あのー、ポラロイドカメラは要らなくて…とりあえず終わったら紙テープ投げるんだよね…?)
という、偏ったストリップ観を持ちながら、
近所の西友で紙テープを買って行きました。

友人の出番が来るまで、ロビーで煙草を吸いながら待っていました。
彼女の出番まで待った時間は、セブンスター3本分。
それはただ単に時間が長かったのか、それとも良心の呵責からどうにかして逃れる為に重たい煙草を普段吸わないペースで吸ったのか。どちらでしょうね。

そして、いよいよ彼女の番が。
入口近くにしゃがみ込み、何も考えないように、何も考えないように舞台を眺めました。
目の焦点をなるべく合わせないように(セブンスター3本、あれは良心の呵責から逃れる為なのかもね)。
友達の陰部なんて、見ない方がいいのかな。
彼女のステージが終わったら、なんとなく『頑張ったね』って声を掛けとけばいいか。なんて。
ぼんやりと。ぼんやりと。



花道を照らす安いゼラチン越しのライト。
ベタな黴臭いハウスミュージック。
類人猿のようなツラ構えのおじいちゃんが最前列に居座る花道。
そんな“性”だの“快”だのよりも、“愁”の一文字が似合う空間のなか、彼女の“ダンス”が始まった。






…なんだこれは!






超かっこいいぞ!!





しゃんと伸びた背筋、
表情を持った指先。
小柄で、幼い顔立ちの彼女の柔らかな肌越しに感じる、しなやかな筋肉の動き。

ストリップって、こんなに明るいものなのか。

そして、

とても綺麗だった。

彼女の体がキレイなのは勿論、
ダンスのキレも抜群。

何より1番綺麗、いや、美しかったのは、


自分を守るものが、布一枚とてない状況で、歯を見せて笑い、汗を流して舞う、
そんな、“生き方を決めた女の強さ”だ。


果たして、私達は布一枚とて自分を守るものがない状況で、あんなに眩しく笑えるだろうか。
たった1人で舞台の上で裸になって、自分を売り込むことが出来るだろうか。

職業には貴賤がある。
『職業に貴賤なんてないよ』なんて言葉を鵜呑みにするのは馬鹿だ。あの文言は金と力を持った人が、持たぬ者を買う時に使う呪文。
AV女優をセクシー女優と言い換えたり、ザードルをアイドルの括りにしたりすることが当たり前と化している昨今、
彼女は『私は舞台女優になりたい』ではなく『私はストリッパーになりたい』と宣言した。
そんな彼女がこぼす笑みや、目をギュッと瞑る仕草からは賤しさはまるで感じられない。
扇情的という言葉が似合うステージだが、リビドーよりも初期衝動を煽るステージだった。


BGMのテンポダウンが、それとなく客席にステージの終幕を報せる。

私『彼女、私の友達なんです。』

と、偏ったストリップ観で買ってみた紙テープ(5色入)を周りに配ってみた。


湿っぽいBGMが止み、彼女が深々とお辞儀をする。
派手なメイクや髪飾りより、白い肌を伝う汗がただただ眩しかった。
そこで投げられた5色の紙テープ。
まるで豪華客船を見送る紙テープのようだった。
文字通り“裸一貫”新たな人生を選んだ彼女が、どうか沈没しませんように。同じ笑顔で帰ってきますように。
彼女の船出に祝福を。


『自分を今まで守ってきたものを全て捨ててから、失ってから、そんな状況から、人に感動を与えられる人こそが“本当に強くて美しい人”』
私が自分の生き方に悩んだ時に思い出すのは、新人ストリッパーの扇情的なステージだ。

今も日本のどこかで彼女は、脱ぎ、踊る。
投げられる紙テープの数は虹の色数を超えただろうか。
彼女が運転する花電車は、今日も虹を超えて極楽を目指す。